【レビュー】CRACK≡TRICK！ ― CRYSTALiAが描く“電脳×怪異”の真実を暴くミステリー

2025年11月2日

“真紅の貴婦人”が現れた時、運命はループを始める。
電脳と怪異が交錯する短編ミステリー『CRACK≡TRICK！』の感想です。

あらすじ：電脳時代の“真紅の貴婦人”事件

舞台は近未来。電脳化が一般的となった世界で、元アカデミー首席の探偵・ハヤテと、彼の研修生セラフィナが“赤いドレスの女”にまつわる怪事件へと挑む。

フォルガン家で相次ぐ不審死――死の直前、皆が「真紅の貴婦人を見た」と語る。
旧友アデーレからの依頼により、二人は呪いと呼ばれる現象の真相を探ることになるが、その先に待っていたのは、人智を超えた“電脳と怨念の融合”だった……。

本作のシナリオを手がけるのは、かずきふみ氏。彼の筆致らしい重厚な世界観とループ構造は健在で、一見「CRYSTALiA版・きまぐれテンプテーション」と言いたくなる内容でしたw

しかし、ホラーやサスペンスの緊張感を維持しきれず、終盤ではSF×バトル要素が強く出すぎた印象。
“赤いドレスの女”というクラシカルな怪談の雰囲気から、突然“組織”や“戦闘人形”が登場し、トーンが崩れる。推理モノとしての伏線回収も弱く、展開が読めてしまうのが惜しかった・・・！

シナリオの内容に賛否はあれど、主人公ハヤテとヒロイン・セラフィナの会話のテンポは抜群。
彼女の存在が、重くなりがちな物語に爽やかな風を吹かせています。

また、文章そのものは非常に読みやすく、テンポも軽快。短編としてテンポよく読了できるため、「サクッと遊びたい派」にも向いていますね！

プレイ時間はおおよそ6時間前後。綺麗にまとまってはいるが、ボリューム不足は否めません。
ループや選択肢による分岐も実質的には“順番違い”程度で、プレイヤーが推理を楽しむ余地は少なめ。

終盤の真相も“夢オチ＋電脳的ミスリード”に留まり、せっかくのテーマを活かし切れていないと感じました。
ただし、演出面や音楽、キャラクターデザインの完成度は非常に高く、短編としての完成度は悪くないです！

「CRYSTALiAの世界観でかずきふみ氏の物語を味わいたい」
「短時間で遊べるミステリー風ノベルを探している」

そんな人にはおすすめできるが、きまテンや刀シリーズのような完成度を期待すると肩透かしを食らうかな？
セラフィナのキャラ性と演出のテンポの良さが光る一方、作品全体は“もう一歩踏み込みが欲しい”惜作といえ流でしょう。

⚪︎電脳×怪異をテーマにした近未来ミステリー

⚪︎軽快なテキストと短時間プレイでサクッと読める

▲推理要素・ボリュームはやや薄め

簡単にまとめるとこんな感じです。

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