「抜きゲー・エロゲーランキング2025」を公開しました。

【レビュー】『顔のない月 ‐待宵の双椿‐』感想|―十九年の沈黙を破り、因習の村に咲く双椿の物語―

伝奇エロゲの名作『顔のない月』がリメイクで再誕。倉木鈴菜を中心に描かれる、因習村の秘祭と純愛の物語。美麗CGと深化したストーリーが令和に蘇る。

 画力 
 ハード度 
 ラブ度 
★★★★
★★★
★★
抜き度シナリオ体験版
★★★
★★★★
あり
エロゲ名顔のない月 ‐待宵の双椿‐
ジャンルADV
原画CARNELIAN
ブランドROOT
価格10,780円
FANZA体験版・DL購入はこちら
FANZAパッケージ版はこちら
目次

「月待ちの儀」が開く、狂気と慈しみの再生譚

舞台は、信州の山奥にある閉鎖的な村・久坂村。十九年に一度だけ行われる秘祭「月待ちの儀」を前に、主人公・羽山浩一は奇病に苛まれながらも、倉木家の本家に呼び出されます。そこは花咲き乱れる洋館「椿館」。この世とあの世の境が溶けるような幻想の空間で、浩一は顔の見えなかった少女・倉木鈴菜と出会うのです。


古き信仰、家の呪縛、そして愛と死の交錯――本作はそんな“平成伝奇”の香りを濃密に漂わせながら、プレイヤーを静かに飲み込んでいきます。
リメイク作品ながら単なる焼き直しに留まらず、旧作を知る者でさえ何度も裏切られる展開が続きます。とりわけ由利子ルートの衝撃は、「これは確かにリメイクではなく再誕だ」と言わせるに十分なものでした。


“鈴菜”という存在――救われるべき巫女、狂おしいまでの純愛

『顔のない月』という名を語るうえで、やはり倉木鈴菜の存在は避けて通れません。
リメイク版では、彼女の「普通の女の子として生きたい」という想いがより丁寧に描かれ、因習に囚われた悲劇性が増しています。序盤で「甘ったるい世界の住人」と評された少女が、ルートを重ねるごとにその甘さを剥がされ、やがて“鬼”へと覚醒していく。


旧作では見えなかった彼女の「救いへの執念」が真ルートで開花し、その結末はただの悲恋ではなく“再生”として昇華されました。
そして声優・夏野ぱいん氏による新たな鈴菜は、彼女の多面性を見事に表現。清楚さ、狂気、可愛さ――どの顔も「顔のない月」というタイトルを体現するかのようでした。

リメイク文化の中で輝く“古き良さ”と“今の再構築”

本作が特筆すべきは、リメイクでありながら“時代性を失っていない”という点です。
古典的な伝奇+凌辱の構造をしっかりと残しつつ、現代的な演出で再構築。
シナリオは確かに荒削りな部分もあり、説明不足や重複も見受けられますが、それが“2000年代初期の空気”をそのまま蘇らせるエッセンスになっています。


また、キャラクターごとの変化も見どころ。千賀子の柔らかさ、由利子の深堀り、チヨの核心的な語りなど、旧作で補完しきれなかった関係性が今作でようやく解き明かされる。
攻略システムには時代を感じる部分もありますが、フローチャートのヒントや分岐条件の緩さなど、遊びやすさは十分。むしろ“当時のエロゲ文化”を現代の感性で追体験できる貴重な作品です。

まとめ:十九年越しの「再誕」。そして鈴菜は、再び月を見る。

『顔のない月 ‐待宵の双椿‐』は、ただの懐古ではありません。
旧作の空気感を損なうことなく、新たな演出とキャラ表現で“リメイクの理想形”を実現した作品です。
シナリオの粗さやシステム面の不満は確かにありますが、それを凌駕するほどの空気感、そして鈴菜というヒロインの輝きがあります。


旧作プレイヤーなら「懐かしさ」と「新しさ」の二重奏に心を揺さぶられ、新規プレイヤーなら“平成伝奇の香り”を肌で味わえるはずです。
十九年に一度の月待ちの儀。その幕が再び上がった今、鈴菜の微笑みは確かに、今を生きる私たちに届いています。

エロゲ名顔のない月 ‐待宵の双椿‐
ジャンルADV
原画CARNELIAN
ブランドROOT
価格10,780円
FANZA体験版・DL購入はこちら
FANZAパッケージ版はこちら

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

えっちなお友達にシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次